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2025.10.13

小児矯正の後戻りはなぜ起こる?「後戻りしやすい子どもの特徴」と親ができる対策

「子どもの歯並びのために、高い費用と長い時間をかけて矯正治療を始めたのに、また元に戻ってしまったら…」
「痛くて不自由な思いをさせているのに、それが無駄になったら子どもが可哀想」

大切なお子さんの矯正治療だからこそ、絶対に失敗したくないというお気持ちは、親として当然のことです。インターネットや周りの人から「矯正しても後戻りすることがある」と聞き、強い不安を感じている方も少なくないでしょう。

この記事では、そんな親御さんの不安を解消するために、小児矯正で後戻りが起きる原因を専門家の視点から詳しく解説いたします。後戻りしやすいお子さんの特徴から、それを防ぐために親ができる具体的なサポート方法まで、この記事を読んで正しい知識を身につけてくださいね。

小児矯正は後戻りしやすい?大人の矯正との違い

小児矯正

小児矯正は「後戻りしやすい」というイメージがあるかもしれませんが、一概にそうとは言えません。大人の矯正とは根本的な考え方が異なり、それぞれにメリットと注意点が存在するのです。
まずは、その違いを正しく理解することが大切になります。

比較項目 小児矯正(1期治療) 大人の矯正(2期治療)
主な目的 顎の健やかな成長を促し、永久歯が綺麗に生える土台を作ること 歯を直接動かして、歯並びや噛み合わせを整えること

治療の対象

骨格、顎の成長

歯そのもの

抜歯の可能性

低い(顎を広げるため)

比較的高い(スペース確保のため)

後戻りの特徴

成長による変化や悪習癖が主な原因

歯周組織が元の位置に戻ろうとする力が主な原因

「成長を利用する」から後戻りしにくい?知っておきたいメリットと注意点

小児矯正の最大のメリットは、お子さんの「成長する力」を最大限に活用できる点にあります。顎の骨がまだ柔らかい時期に治療を始めることで、無理なく骨格のバランスを整えることが可能です。これにより、永久歯が並ぶためのスペースを確保し、将来的な抜歯のリスクを減らせるでしょう。

しかし、その「成長」が注意点にもなりえます。治療中に予測とは異なる方向に顎が成長したり、思春期に急激な変化が起きたりすることで、一度整えた歯並びが影響を受ける可能性も否定できません。

小児矯正のポイント 詳細

メリット

-顎の成長を正しい方向へ導ける
-永久歯が生えるスペースを確保しやすい
-抜歯をせずに済む可能性が高まる
-舌の癖や口呼吸などの根本原因を改善しやすい

注意点

-治療後も顎の成長が続くため、変化する可能性がある
-思春期など、予測しにくい成長期がある
-本人の協力(装置の使用やトレーニング)が不可欠

 

【わが子は大丈夫?】要注意!後戻りしやすい子どもの5つの特徴

わが子は大丈夫

後戻りのしやすさには、お子さんの癖や骨格、体質などが大きく関係しています。「うちの子は大丈夫かな?」と心配な方は、以下の5つの特徴に当てはまるものがないか、ぜひチェックしてみてください。これらの特徴を早期に発見し、対策を講じることが、矯正治療の成功率を高める鍵となります。

  • 特徴1:指しゃぶり・口呼吸・舌の癖など「悪習癖」が抜けていない
  • 特徴2:お口ポカンになりやすい「口周りの筋力不足」
  • 特徴3:受け口や出っ歯など「骨格的な遺伝要因」がある
  • 特徴4:アレルギー性鼻炎など「口呼吸を誘発する疾患」がある
  • 特徴5:歯を支える土台が弱い「歯周組織の問題」
特徴1:指しゃぶり・口呼吸・舌の癖など「悪習癖」が抜けていない

矯正治療で歯を正しい位置に動かしても、歯並びを乱す根本的な原因が残っていては意味がありません。指しゃぶりや舌で歯を押す癖、口呼吸などの「悪習癖」は、毎日何時間も歯に不適切な力を加え続ける行為です。せっかく動かした歯も、これらの癖によって簡単に元の位置に押し戻されてしまいます。

特徴2:お口ポカンになりやすい「口周りの筋力不足」

普段からお口がポカンと開いていることが多いお子さんは、口の周りの筋肉(口輪筋)や舌の筋力が弱い可能性があります。唇や舌、頬の筋肉は、歯並びを外側と内側から支える「天然の矯正装置」のような役割を果たしているのです。この筋力バランスが崩れると、歯は簡単に乱れてしまいます。

【お口の筋力不足チェックリスト】

  • 食事中にクチャクチャと音を立てる
  • 気づくと口がポカンと開いている
  • 唇がカサカサに乾いていることが多い
  • 滑舌が悪く、特定の音が発音しにくい
  • 舌の先がギザギザしている
特徴3:受け口や出っ歯など「骨格的な遺伝要因」がある

歯並びには、顔の形や顎の骨の大きさといった遺伝的な要素も関わってきます。例えば、ご両親のどちらかが受け口(下顎前突)や出っ歯(上顎前突)である場合、お子さんも同じような骨格的な特徴を受け継ぐ可能性があります。
骨格自体に原因がある場合、歯だけを動かす矯正治療では限界があり、治療後に顎の成長に伴って後戻りするリスクが比較的高くなる傾向があります。ただし、小児矯正は、この骨格の成長をコントロールできる唯一のチャンスでもあります。

特徴4:アレルギー性鼻炎など「口呼吸を誘発する疾患」がある

アレルギー性鼻炎やアデノイド(咽頭扁桃)、扁桃肥大などで鼻が詰まりやすいお子さんは、無意識に口で呼吸するようになります。口呼吸が習慣化すると、先述の通り、歯並びに様々な悪影響を及ぼし、後戻りの大きな原因となるのです。矯正治療と並行して、耳鼻咽喉科で鼻の疾患を治療することも、後戻りを防ぐためには非常に重要になってきます。

特徴5:歯を支える土台が弱い「歯周組織の問題」

歯は、歯茎や歯槽骨(歯を支える骨)といった歯周組織によって支えられています。この土台が健康でしっかりしているからこそ、矯正で動かした歯が新しい位置で安定するのです。お子さんの場合は少ないですが、歯肉炎などがあると歯を支える力が弱まり、歯が動きやすくなって後戻りのリスクを高めます。矯正治療中は装置によって歯磨きがしにくくなるため、普段以上に丁寧なケアが求められます。

後戻りを防ぐ!親がやるべき3つの最重要サポート

後戻りを防ぐ!

後戻りの原因が分かったところで、次はそのリスクを減らすための具体的な対策を見ていきましょう。小児矯正の成功は、歯科医師の力だけでは成し得ません。ご家庭での親御さんのサポートが、お子さんの一生の歯並びを左右すると言っても過言ではないのです。

  1. サポート1:治療の要!「リテーナー」装着を親子で乗り切るコツ
  2. サポート2:根本原因を断つ!自宅でできる口腔筋機能療法(MFT)
  3. サポート3:「定期検診」で後戻りのサインを早期発見する
  4. サポート4:治療開始前に医師に確認しておきたい質問リスト
サポート1:治療の要!「リテーナー」装着を親子で乗り切るコツ

矯正装置が外れた後の解放感も束の間、実はここからが本当の勝負です。動かしたばかりの歯の周りの骨はまだ固まっておらず、非常に不安定な状態にあります。歯は元の位置に戻ろうとするため、新しい歯並びを記憶させ、安定させるための「リテーナー(保定装置)」が絶対に必要になるのです。

種類と費用は?お子さんに合ったリテーナーの選び方

リテーナーにはいくつか種類があり、お子さんのお口の状態やライフスタイルに合わせて歯科医師が選択します。それぞれの特徴を理解しておくことで、お子さんの治療への理解も深まるでしょう。

リテーナーの種類 特徴 メリット デメリット 費用の目安

プレートタイプ

取り外し式。プラスチックの床とワイヤーで歯を固定する。

-自分で取り外しできる
-清掃しやすい
-装着時間を守らないと効果がない
-発音しにくいことがある
-紛失・破損のリスクがある

3万円~6万円

マウスピースタイプ

取り外し式。透明なマウスピースで歯全体を覆う。

-目立ちにくい
-違和感が少ない
-装着時間を守らないと効果がない
-耐久性がやや低い
-紛失・破損のリスクがある

2万円~5万円

フィックスタイプ

固定式。歯の裏側に細いワイヤーを接着する。

– 自分で管理する必要がない

– 紛失の心配がない

– 後戻りのリスクが最も低い

– 取り外しできない

– 歯磨きがしにくい

– ワイヤーが外れることがある

2万円~5万円

子どもが嫌がらない!装着を習慣化させる親の工夫

リテーナーの装着時間は、治療直後の数ヶ月は食事と歯磨き以外の時間(1日20時間以上)が目安です。これを守るのは、お子さんにとって簡単なことではありません。親御さんの励ましと工夫で、装着を習慣化させてあげましょう。

  • 理由をしっかり説明する:「これを着けないと、痛い思いをしたのが全部元に戻っちゃうんだよ」と、お子さんの目線で必要性を伝えます。
  • カレンダーやアプリを活用する:装着できたらシールを貼る、アプリで装着時間を記録するなど、ゲーム感覚で楽しめる工夫を取り入れます。
  • 褒めてモチベーションを上げる:「今日もちゃんと着けられて偉いね!」と、頑張りを具体的に褒めてあげることが大切です。
  • 保管場所を決める:外した際に無くさないよう、必ずケースに入れる習慣をつけ、決まった場所に置くルールを作ります。
サポート2:根本原因を断つ!自宅でできる口腔筋機能療法(MFT)

悪習癖や口周りの筋力不足が後戻りの原因である場合、リテーナーだけでは根本的な解決にはなりません。そこでおすすめなのが、お口の筋肉を鍛えるトレーニング「MFT(口腔筋機能療法)」です。歯科医院での指導に加え、ご家庭でも簡単なトレーニングを続けることで、後戻りのリスクを大幅に減らすことができます。

【おうちで簡単!MFTチャレンジ】

  1. ポッピング:舌の先を上顎のスポット(前歯の少し後ろの膨らんだ部分)につけ、「ポンッ!」と音を鳴らします。舌全体を上に持ち上げる筋肉を鍛えます。
  2. あいうべ体操:「あー」と大きく口を開け、「いー」と横に広げ、「うー」と唇を突き出し、「べー」と舌を思い切り下に伸ばします。これを1セットとし、毎日繰り返します。
  3. 風船膨らまし:風船を膨らませる動作は、口を閉じる筋肉(口輪筋)を効果的に鍛えることができます。
サポート3:「定期検診」で後戻りのサインを早期発見する

矯正装置が外れた後も、歯科医院との関係は終わりではありません。むしろ、整った歯並びを維持していくために、定期的なメンテナンスが非常に重要になります。親御さんが気づかないような僅かな歯の動きや、リテーナーの不具合などを専門家がチェックすることで、後戻りのサインを早期に発見し、大事に至る前に対処できます。

 

熊本のかどおか歯科医院が実践する「後戻りを防ぐ」ための小児矯正

私たち、熊本市南区の角岡歯科医院では、ただ歯並びを綺麗にするだけでなく、その美しさが長く続く「後戻りの少ない治療」を最も重視しています。これまで解説してきた後戻りの様々な原因に対し、当院では科学的根拠に基づいたアプローチで徹底的に対策を行います。

角岡歯科医院の後戻り対策 具体的な取り組み

1. 精密な診断による原因の特定

歯科用CTなどの先進設備を用いて、歯だけでなく顎の骨格や成長の方向性を三次元的に分析します。なぜ歯並びが悪くなったのか、その根本原因を突き止めることから治療をスタートします。

2. 悪習癖へのアプローチ

専門的な知識を持つ歯科医師や衛生士が、お子さん一人ひとりの癖を見抜き、改善のためのMFT(口腔筋機能療法)を丁寧に指導。ご家庭でのトレーニングをサポートし、根本原因の解消を目指します。

3. 充分な説明とカウンセリング

「なぜこの装置が必要なのか」「リテーナーをしないとどうなるのか」をお子さん本人にも分かりやすく説明し、治療へのモチベーションを高めます。親御さんの不安や疑問にも、時間をかけて丁寧にお答えします。

4. 徹底した保定期間の管理

矯正装置が外れた後の定期検診を非常に重要視しています。リテーナーの適合チェックや歯並びの微細な変化も見逃さず、後戻りの兆候があれば早期に対応します。

お子さんの大切な歯並びだからこそ、安心して任せられる歯科医院を選んでいただきたいと考えています。ご興味のある方は、ぜひ一度、無料相談にお越しください。

まとめ:親子の二人三脚で、子どもの一生モノの歯並びを守り抜こう

小児矯正後の後戻りは、様々な要因が複雑に絡み合って起こります。しかし、その原因の多くは、適切な対策によって予防することが可能です。

  • 後戻りの原因は、悪習癖や口周りの筋力不足など、生活習慣に隠れていることが多い。
  • 矯正治療の成功には、治療後の「リテーナー」による保定が不可欠。
  • MFT(口腔筋機能療法)や定期検診で、後戻りの根本原因にアプローチできる。
  • 親御さんの正しい知識と日々のサポートが、お子さんの歯並びの未来を左右する。

後戻りは決して「運が悪かった」から起きるものではありません。正しい知識を持ち、親子で協力し、信頼できる歯科医師とチームを組むことで、そのリスクは大幅に減らすことができます。
大切なお子さんの一生モノの笑顔と健康のために、私たちと一緒に頑張りましょう。

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